第113囘　オピニオンプラザ――わたしの正論　發表

　　これからの學校教育制度をどう考へるか

入選　　　岡田　俊之輔　　平工　四郎

佳作　　　末永　善久　　鵜澤　謹爾　　北村　澤子

論文を審査して

　　　京都大學教授　市村　眞一

　さすが教育問題だけあつて、今囘の應募はいつも以上に多かつた。年齡も、十代から高齡まで、職業も、教員や學生のほか全分野にわたり、地域も全國にまたがつた。しかし、教育制度をどう考へるかは難問である。單に、戰前にもどせとか、日教組が諸惡の根源だとかいふ式の議論をぬけ出て、考へ方の論據をさぐり、視點を持つた論文は、案外に少なかつた。また多くの讀者が、すでに新聞や雜誌で一般的に論議されてゐる六三三制の改革や、入試制の改善論の取りまとめ以上に出られなかつた。
　そのやうな中では、入選作の岡田俊之輔君の一論は、大學生の立場にありながら、受驗地獄の被害者意識を超えよと訴へ、「受驗が苦しければ、受けるな」と言ひ、偏差値で輪切りにするといふ非難の當たらぬことを指摘して、親の希望どほり受けさせてみよ、と正論を主張して、新鮮な印象を大半の審査委員に與へた。【後略】

［本文に戻る］